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「 そのまんまをしょって 」
PM 1:00






ランチに入ったカフェが結構あたりだったなー
と、前を歩く友達の背中を見ながらなんとなく思う。
私があげたキーホルダーがぶらんぶらんと体を揺らすのを見ると、その考えはあながち間違ってはなさそうだなと思い直した。
待ち合わせして、ランチを食べて、お互いの次の予定まで時間をすごす。
「ねぇ…」
答えは多分わかっているのに、声が詰まるみたいに、どうしてか毎回聞いてしまう。
「クレープ食べない?」
「めっちゃ食べる」
なにそれ。口元がゆるまるのを感じて
ぎゅーってなった。





















ぽかんと口を開けるリュックからそろりと漫画を取り出す。
「これ」
最近会うたびにおすすめのものを貸すのが恒例になっている。
面白かったとか、続きが気になるとか、あまり好みじゃなかったとか
自分の色が、違う色になって戻ってくる。
ぽかんと開いた空っぽのリュックが不安そうな顔に見えて、なんとなくむず痒くなった。
ぽすっとリュックの中に顔を埋める。
「漫画ありがとうー、って何してんの」
「自分をつめてみた」
「なにそれ」
「ごめんわかんない」
なにそれ、とまた笑われる。
むずむずする感じがいっそなんだったのかもわからなくなって、やめてよ、と私も笑ってしまった。
リュックの奥からインスタントカメラを取り出してバカにしてくる顔を撮る。
現像したらどんな写真になっているんだろう。
どんな色でも大丈夫な気がした。











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